広く一般の人を、高めるという意味で、宗教はあるのであろうか。
私はいつかの前世で、「宗教（仏教と思う）をだれにでもわかるように単純化しようとしていたかもしれない」と、思うことがある。
単純化されたものを、広めようとしていたのかも知れない。
けれど、その人生を終えた時、「人々を高めるのは、一段高い段の上から講釈をしたり、お経をとなえることではなく、同じところで泥にまみえながらも、心のダイヤモンドを見失わず、生き続けることによって、そこにいる人々の心の光が輝くきっかけを作ることではないか」と思ったような気がするのである。
前世療法をしたわけでもなく、ただの妄想なのであるが、私はそれを信じていて、ずっと何をすればいいのか探していた。
見つけた仕事は大それた仕事ではなく、これだけは避けたいと思っていたけれど、成り行きでなってしまった動物病院の手伝いと、動物ボランティアであった。
一匹の猫だけをかわいがって、他の猫は見て見ぬふりをして暮らしていたかった。
そこに足を踏み入れると、「ドツボにハマル」というのもわかっていた。
動物病院も動物ボランティアも、もっとも避けたかった仕事である。
それなのに、成り行きで両方を今、やっているのである。
けれど、そのおかげで、私は自分の中の子供の心（心のダイヤモンド）を殺さずに済んでいる。子猫の里親さんが見つかった時は、心から喜んでいる。幸せを感じている。
関わり合う人の中に、私と共鳴する人たちが現れて、お互いに磨き合っている。
まさに、泥の中で輝きを見いだしている。
仏教絵画に出てくる、泥池の中の蓮の花のようである。
そのように生きるためには、私には宗教は不要である。
知り合いに、人のオーラが見えるという人がいる。
つい先日まで知らなかったことであった。
それが、何となく話をしているうちに、オーラの話となり、「実は見えるねん」と告白されたのであった。オーラなど見えると無防備に言うと、変人扱いされるのがオチなので、黙っていたらしい。
私のオーラはライムグリーンで、今は四重になっているとのこと。夫のは薄いブルーで、疲れているのか一重だと言っていた。私のオーラは、インディゴブルーだと思っていたが、お風呂に入っている時に指の先から出ている光はライムグリーンだったので、自分のオーラの色はグリーンだと確信した。
その人は、オーラの他にも、守護霊が話しかけてくるらしく、私の場合は、その人の夢に出てきたらしい。
「『あの子をよろしくお願いします。』と、夢に小太りのもんぺをはいた、髪の毛を後ろでまとめているお婆さんが言ってたけど、心当たりないかなあ？」と聞かれた時は、「私のおばあちゃんは、いつも洋服着てたし、ショートカットやったしなあ」と首をかしげていたのだが、そういえば、冬になるともんぺをはいて商売に出かけるもう一人のおばあちゃんがいた。元夫の祖母である。
元夫の祖母とは、はじめの方こそ、ケンカもした中だったのだが、お互いにとても似たところがあって、最後は分かり合えるようになっていた。もしかしたら、彼女の人生が、もう一つの自分の人生のような気がするほどであった。きっと向こうもそう思っていたに違いない。やんごとなき理由から離婚をするにあたり、おばあちゃんに申し訳なく思っていたものである。
今、動物病院を経営するなかで、彼女から伝授された商売の極意がとても役に立っている。彼女が守り通した店に、その極意を使えないことは残念で仕方がないが、今となっては、彼女に教えてもらったことを精一杯、役立てて感謝して生きていくことが私の使命である。
そんなことをいつも思っていたら、どうやら、私の守護霊になっていてくれていたようである。
ありがとう、おばあちゃん。
私たちが暮らしているこの世界は、池や沼の水に降り注ぐ雨の波紋と同じである。
何か行動したり、話したりすると、波紋が生まれる。そして、その波紋は、誰かの波紋とぶつかったりして、様々な模様を描いていく。
時には大きな波が起こる時もあろう。波が続く時、私たちは嵐の小舟に乗ってしまったような気分がするだろう。
静かな、おだやかな夜明のような、鏡のような水面が心に訪れた時、私たちは水の中から抜け出して、フワフワ浮かびながら、誰かの起こした波紋を眺めることができるだろう。
そうなれば、もう嵐の小舟に乗ることはなくなる。
そして、池に小石を投げるような愚かなことはしなくなるだろう。おだやかな深い森の夜明の沼の静けさと美しさを一度知ってしまったら・・・
人は死んだらお墓の中で暮らすのだろうか。まさかそんなことがあるはずがない。
そうであるならば、何故、山を切り開いたり、石を切り出したりして、お墓を建てなくてはならないのだろうか。
そんなにしてまで建てたお墓に、お参りするのは多くて年に二、三回という人がほとんどなのは何故だろうか。お墓で死んだ人と話ができるだろうか。
死んだ人を思い出すときというのは、日々の生活の中で、何か悲しいことがあったときや、お風呂でボーッとしているときなどが多いのではないだろうか。「死んだお母さんならどう言うだろう」とか、「あの世でばあちゃん、笑ってるやろな」とか。
お盆の暑いさなかに、嫌々お墓参りをして、一仕事終えたような気分になってホッとする。
したい人はすればいいと思う。
私はしたくないと思う。そして、子孫にそれを強要させたくないと思う。
私は死んだら葬式もしなくていいと思う。簡単なお別れ会ぐらいにしてもらって、お骨は大好きな粟島の海に撒いてほしいと息子に言ってある。私の衣類や道具類などもすぐに処分してくれて良い。
死ねば肉体は終わりである。
私の思い出は、お墓のあるなしに関係なく、残された者たちの心の中に残っているだろう。
もちろん仏壇も要らない。私を知らない遠い先の子孫に、位牌を守らせたところで、邪魔なだけであると思う。
というわけで、私は死ねば跡形もなく、この世から消え、また生まれ変わる予定である。
最近、動物病院に新しく来たスタッフのことで悩んでいた。何回教えてもきちんとやり通すことができないことが多かった。
動物が大好きで、この仕事に就いたのだが、仕事を教える他のスタッフもくたびれ果てて、苦情が出ていた。
少しづつだができているので、私はその子と旧スタッフの間に挟まって困っていた。性格はとても良くて、息子のお嫁さんにしたい位なのに、仕事ができないのである。
どうしたものかと色々検討していたら、「ＡＤＨＤ」という言葉に出会った。
注意欠陥多動性障害という日本名がついているが、みかけは全く普通の人なので、周りに理解されにくいとあった。
よくよく調べていくと、その症状は私や息子にも当てはまり、息子の父方の家系はかなり濃厚なＡＤＨＤであると思われた。
ＡＤＨＤの人はその才能を開花させると、偉人になることもあるという。
私は彼女と巡り会った運命のようなものを感じつつ、更年期を迎えて体が弱りつつある自分が、彼女をかばうことができるだろうかと不安も感じたりしていた。
やっと彼女に対する批判の心も消えて、自分の心が静かになってきたけれど、旧スタッフが今度は黙っていないから、その軋轢をどうしようかと考えていた。
旧スタッフたちは、彼女をやめさせて欲しいという欲求を断られたから、他のことで解消しようとしているようである。
些細なことで自分の意見を通したりするようになった。
私はそんな若者のエゴには付き合いきれないし、かといって、まだ仏さんのように、ただニコニコ笑っていられるようにもなれず、少し悶々とした。
「みんなから『居てくれるだけで有難い』と言われる人になりたいなあ」と思ったりした。
そして、疲れて横になり、２０分くらいして目が覚めた時、私は自分がどこにいるかわからず、宇宙空間に一人で放り出されたような感覚に陥った。
地上にいながら宇宙遊泳ができるのはお得だが、気持ちよいものではなかった。
「これが本物の宇宙空間だったら、決して慌てず、自分の進む方向を見極めなければいけないのだろうなあ・・・」と思った。
ということは、宇宙でも地上でも、迷って自分の立地点がわからない時は、落ち着いてじっとするより他はないのである。慌てて右往左往すればするほど、自分がどこにいるかわからなくなるのである。
私は今、自分の生き甲斐や、人生で一番何をしたいのかわからなくなって、虚空を漂っているのかも知れない。
つれづれ花子の「8」に書いたのだが、あの夢を見たあと、私は、ある健康食品に出会った。
それは、アロエジュースであった。
当時、私は疲れ果てていた。
花粉症は辛いし、顔色は悪く、目にクマができていた。どうにかして自分の健康を取り戻す必要があり、色々と手探りの状態であった。
そんなときに、祖母の夢を見て、「祖母は何が言いたかったのかな・・・」と考えていた頃に、ネットで知り合った友人からアロエジュースを教えてもらった。
私はこういう時、チャンスを逃さない性格である。「もしかしたら、祖母のメッセージはこれかも知れない。」と感じ、すぐに一本、お試しで送ってもらうことにした。
届いておどろいた。
それは、祖母が生前、「これさえあれば１００才まで生きれるわ」と言って毎日飲んでいたのと、全く同じアロエジュースであった。
私の勘は「ドンピシャリ」であったと思う。
それで、続けて飲んでみることにした。昔、祖母が飲んでいた時は、「うさんくさい」と思いながら、あまりに勧めるのでいやいや飲んでいたジュースであった。
飲んでみて思ったことは、疲れが翌日に残らなくなったということであった。
知り合いのお母様が保護したけれど、「猫エイズだから安楽死をした方がよい」と獣医に見放された野良猫が、木立アロエの葉肉を混ぜたマグロを食べて元気にしているという話も聞いていた。
ある日、『歯科医が自分で治せなかった歯肉炎を、アロエジュースを飲んで治してしまった』という話を聞き、「もしかすると、猫の難治性の口内炎に良いかも知れない」と思いつき、フードに少しずつ混ぜて与えてみたところ、高い確率で食欲が出て、元気になることがわかった。
アロエジュースを買うのがもったいないという人には、木立アロエを教えてあげたが、吐いてしまう子がいるということもわかった。
それで、やはり私はアロエジュースを勧めることにしたのであった。
それも、メーカーによって効き目が全然違っていた。祖母の夢に導かれて手に入れたものが一番良かった。
「ねこおた」な私は、猫にばかりアロエジュースを与えてしまうが、なるべく毎日飲むようにしている。すると、「最近若返ったね」などと声をかけてもらったりするようになった。
どうやら、アロエは若返りの妙薬であるらしい。
色々調べていくと、免疫力をつけてくれるらしいこともわかってきた。道理で、ステロイドなどに頼らなくても、自分の体が治してくれて、症状が消えていくのである。
私はかねてよりステロイドが大嫌いであったので、（義母はこれで殺されたようなものである）渡りに船であった。
今では夫も、お酒を飲み過ぎたら必ず飲んでおり、動物病院でも、使うようになった。
祖母の夢がきっかけで、面白いことが起きるものである。何事も、思いついたら行動してみると面白いと思う。
義母の一周忌が近づいてきた。
ここ半年、事情があって義母の家にあった仏壇を自分の家に持ってくることが出来なかった。
事情とは、猫だらけの家に仏壇を置いたとして、仏壇の上で寝ころんだり、粗相をする猫がかならず出てくると予想できたからである。
五匹くらいの猫の数ならそんなこともないのだが、五十匹であるとなれば、普通の人の想像の範囲を超えていて、いくら説明してもわかってもらえないと思う。
そんな折り、私は原因不明の腰痛に悩まされ続けていた。
いくら、宗教は無意味であると自分では思っていても、宗教を必要として生きてきた義母のお位牌にお水も供えず、仏壇を閉めたままというのは気持ち悪いものであった。
夫に相談しても、「そのままでいい」と言われるだけで、何の進展もなかった。
それで、仏壇の中身のお位牌だけを、とりあえず家に持ち帰り、毎日お水を供えることにした。
不思議なことに、私の腰痛はその日から消えてしまった。
それで、少し義母に義理が果たせた気分になっていた。
食器棚を片づけた一角に、お位牌だけではかわいそうだと思い、小さな仏壇を中に入れようと思い立ち、仏具屋さんに聞きに行くと、そこで、私は天から突き落とされるようなことを色々といわれる羽目になった。
曰く、「前の仏壇のオタマシ抜きをしないことは、良くないことである。」「新しい仏壇に入魂した掛け軸を入れないことは、良くないことである。」「オタマシ入れをしていない仏壇はただの箱である。」云々。
私は、前の仏壇は、環境が整えば、いずれ自宅に運び込む気でいた。だから、とりあえず、今だけ仮にお位牌をおける場所がほしかった。それなのに、オタマシ入れをしないと意味がないとか、オタマシ抜きをしないと悪いことが起こるとか、怖いことを言われたから、義母に対する自分の真心を踏みにじられたような気分になった。
きっとそうやって日本の仏教は生き延びてきたんだろう・・・人々の恐怖をあおって。
なぜなら、オタマシ入れとオタマシ抜きにかかる費用は、合計８万円くらいかかるからだった。
私は一番怖いのは人間だとつくづく感じ、昔の人間嫌いだった頃に戻りそうである。
最近、人の自分勝手さや、腹黒さをたくさん見てしまった上での出来事であったから、ショックは大きかった。
やはり、仏壇は私の代で終わりである。私の骨は景色のいいところに撒いてもらって、位牌もいらない。
こんなことをしていては、日本の仏教は人々を救えないだろう。
記憶といえるものかどうかわからないが、私は誰かの守護霊をやっていたことがあるような気がする。
その記憶というのが、イライラするような記憶で、もどかしくてたまらないような感覚である。
いくらメッセージを送っても、返事が来ない。意に反することばかりをする。肉体がないから、止めることも出来ない。
なんだかそんなような記憶である。
それで、やはり肉体あっての物種だということで、私はこの世に生まれることにしたような気がする。
その、イライラする相手というのが、今のだんなの様な気がしてならない。
だいたい、私の話をわからせるのに、一年はかかる。それも、色々と作戦を立てて陥れ、「バチが当たった」と思わせてから、話をゆっくり聞かせる等々。だんなは、口癖が「あ〜、バチ当たったかな〜」なので、そういう作戦が有効になることがある。
これでは、肉体があってもなくても同じではないかと、今でももどかしい。
どうして、人は「ツーといえばカー」には、なかなかならないのであろうか。
私がだんなを導きたいことは、獣医として、医学の現状に甘えずに、勉強してほしいこと。最先端の医学にとらわれることなく、東洋、ホメオパシーなど、いろんな医学を見聞しておいてほしいこと。
ステロイドなど、新薬を使うことなく治癒に導く方法を編み出してほしいこと。
私は怠け者で、獣医師の資格を持っていないから、だんなに入れ知恵をしたり、雑用を手伝うのが関の山である。
それでは、肉体があってもなくても、結局はイライラするばかりではある。
人生の主役は自分であると思うのに、これでは脇役ではないのだろうか。自分は、猫を育てることしか能がないのだろうか。このまま、死ぬまでホームレスになったりせずに生きることが出来るのだろうか。
そんな不安がよぎることが無いこともない。守護霊的生き方というのは、この世界でアリなのだろうか。
これは、中間生の記憶ではなく、子供の頃によく夢に出てきた光景である。
私は、中国に住んでいるようである。通りが石造りの町並み、部屋の中には、カーテンのついたような、中国式の寝台がある。
そこで、私は、たくさんのシーズーのような犬を飼って生きている。私は、「犬おた」のようである。
猫には興味はなく、犬が大好きな様子である。けれど、周りの人たちは、私のようには犬を理解する人はいなくて、動物とか、生き物といった扱いである。
私はそのことに、ずいぶんと心を痛めている。「犬にも魂も心もあるのだ」と、そう思っている。
犬と寝台に寝ころんで、けだるそうに窓から外の様子を見ている・・・
子供の頃、何度も目をつぶると目蓋に浮かんできた情景である。これも、前世の記憶であろうか。
子供の頃、熱を出すと必ず見る幻があった。
どこか知らない、広い河原のようなところにいる。よく見ると、川というよりも、水は流れていなくて、ゴロゴロとした岩ばかりのだだっ広い場所である。岩は大きく、何かによって流されたような木なども斜めに生えている。
ふと気づくと、私は大きな岩の下にはさまって、逃げ出せなくなっている。土砂崩れでもあったのだろうか。
苦しくて、息が出来ない。
私は、必死で助けを呼ぶ。
そして、気がつくと、心配そうな祖母がそばにいて、それが夢であったと気づく。その夢を見たときは、とてもうなされているらしい。
子供だった私は、祖母に、一生懸命その光景を説明していた。なんとかわかってもらいたかった。祖母はやさしく抱きしめてくれて、「もう大丈夫、こわかったんやな。」と言ってくれた。私はとても心が安らいだのを覚えている。
夢にその光景は見なくても、熱を出すと、かぶっている布団が急に大きな岩に変わり、金縛りにあうこともあった。
きっと、不幸な死に方をした前世を、夢で思い出していたのではないかと、私は思っている。